セキュリティ

ブラウザの履歴、シークレットモードやVPNで守れる? 防げるもの・防げないものを公式ヘルプと実験で確かめた【2026年】

公開 ・ 読了の目安 約10分 ・ Sorabun 編集部

ブラウザの履歴、シークレットモードやVPNで守れる? 防げるもの・防げないものを公式ヘルプと実験で確かめた【2026年】

2026年10月27日、GMOインターネットグループは、「お名前.com デスクトップクラウド」への攻撃者とみられる者が、同社とお客様に関する情報と称するものを公開したことを確認したと発表しました。

「ブラウザの履歴まで見られるのでは?」「シークレットモードや VPN を使っていれば大丈夫?」。そう思った人のために、Chrome・Brave・IPA・総務省の公式の説明を読み、実際にブラウザで実験して、防げるものと、防げないものを確かめました。

先に結論を書きます。

1. GMO の件、いま公式に分かっていること

GMO の第10報(10月27日 13:55時点)では、攻撃者とみられる者が「当社およびお客様に関する情報と称するもの」を公開したことを、12時30分に確認したとしています。中身は確認中で、「事実と異なる内容が含まれるおそれがあります」とも書いています。

GMOインターネットグループの第10報。攻撃者とみられる者が、当社およびお客様に関する情報と称するものを公開したことを、10月27日12:30に確認した。公開された情報と称するものには、アクセスしたり、拡散したりしないでください。当該サイトにアクセスした方の情報は、攻撃者に取得されています
GMOインターネットグループ(第10報・2026年10月27日)

公開されたものは、見に行かない

GMO が利用者に頼んでいること(ブラウザの同期も)

GMO の発表には「ブラウザの履歴」という言葉は出てきません。ただ、第6報では、利用者に次のことを頼んでいます。ブラウザも守る対象だということが分かります。

GMOインターネットグループの第6報「アカウントの保護に関する対応」。以下の操作は別の安全な端末から行ってください。全端末・全セッションのログアウト、パスワードの変更、多要素認証の有効化、心当たりのない連携アプリ・転送設定・拡張機能・登録端末の削除、点検が完了するまではブラウザの同期をオンにしないでください
GMOインターネットグループ(第6報・2026年10月26日)

2. 実験:ふつうの窓とシークレットで、同じことをした

Chromium(Chrome の元になっているブラウザ)で、ふつうの窓とシークレットのそれぞれで、練習用のページを2つずつ開き、各ページでファイルを1つずつ落としました。ブラウザを閉じたあと、パソコンに何が残ったかを数えた結果です。

ふつうの窓とシークレットで同じことをした結果。閲覧履歴はふつう2・シークレット0、Cookie は2・0、ダウンロードの記録は2・0、跡のあるファイルは6・0、落としたファイルは2・2(シークレットでも残る)
2026年10月27日 Sorabun の実験
パソコンに残ったもの ふつうの窓 シークレット
閲覧履歴 2件 0件
Cookie 2件 0件
ダウンロードの記録 2件 0件
跡のあるファイル(ページの名前を含むファイル) 6つ 0
落としたファイル 2つ 2つ(残る)

シークレットの記録は、閉じたあと、ブラウザのデータのフォルダのどこにも残っていませんでした。一方で、落としたファイルは、シークレットで落としたものも、そのまま残りました。

Chrome のヘルプにも、同じことが書かれている

Chrome のヘルプ「シークレット モードでのブラウジング」。シークレット モード セッションの終了後、Chrome でサイトデータやアクセスしたサイトの記録は保持されない。保存したブックマークとダウンロードしたファイルは、シークレット モードを終了しても Chrome で保持される。ダウンロードしたファイルは、削除するまでデバイスに保存されます
Google「シークレット モードでのブラウジング」

そして、もう1つ大事な点があります。

Chrome のヘルプ。シークレット モードを使用すると、デバイスでブラウジングのプライバシーを確保できますが、記録が一切残らないわけではありません。アクセスしたウェブサイトや、ネットワークを管理している組織(学校、勤務先、インターネット サービス プロバイダなど)には、シークレット モードでのアクティビティが知られる可能性があります
Google「シークレット モードでのブラウジング」

シークレットが守るのは、そのパソコンに残る記録です。Chrome も、共有のパソコンを使う場合や、ギフトを探している場合などに役立つ、と書いています。

3. Brave の Tor のウィンドウは、何を守る?

Brave には、Tor(いくつもの中継を通す仕組み)を通してつなぐプライベートウィンドウがあります。Brave の説明では、IP アドレスを隠し、実質的に匿名でネットを見られる、としています。表示が遅くなることがある、とも書いています。

Brave の Privacy Features のページ「Private windows with Tor」。Tor は複数の中継を通して IP アドレスを隠す。Brave には Tor が組み込まれている。Tor のウィンドウは表示が遅くなることがある
Brave「Privacy Protection & Security Features」

ただし、Brave 自身が、もれのない匿名が必要な人には、専用の Tor Browser をすすめています。

Brave のブログ。もれのない匿名が必要な人には、Tor Browser をすすめる。本当の IP アドレスを見つけようとするサイトや盗聴者から、より強く守るため
Brave「Brave Introduces Beta of Private Tabs with Tor」(2018年)

4. VPN は、何を守る?

IPA は、公衆無線 LAN などのフリー Wi-Fi で、暗号化されていない場合などは、通信の中身を盗み聞きされるリスクは避けられないとして、VPN の利用をすすめています。

IPA「公衆無線LAN利用に係る脅威と対策」4.1 VPN 通信を利用する。暗号化設定がされていない場合などは盗聴のリスクは避けられない。VPN 通信を利用することを推奨する。悪意の AP に接続してしまった場合の盗聴にも有効となる
IPA「公衆無線LAN利用に係る脅威と対策」

ただし、総務省の報告書は、提供元が分からない VPN サービスもあると注意しています。VPN を使うと、通信は VPN の会社を通ります。信頼できる提供元を選ぶことが大事です。

総務省の公衆無線LANセキュリティ分科会の報告書。VPN は安全と言われているが、提供元が不明な VPN サービスもある。VPN サービスの提供元が信頼できるかどうかを慎重に判断できるよう、利用者に注意喚起をしていく必要がある
総務省「公衆無線LANセキュリティ分科会 報告書」(2018年3月)

5. 防げるもの・防げないもの

各社と国の機関の説明に書かれていることだけで、表にしました。

シークレット・Brave の Tor ウィンドウ・VPN で防げるもの・防げないものの表。同じパソコンを使う人に見たサイトを知られる:シークレット○・Brave○・VPN−。公衆 Wi-Fi やプロバイダに通信を見られる:シークレット×・Brave○・VPN○。パソコンにスパイウェアやキーロガーが入っている:3つとも×
Google・Brave・IPA・総務省の説明を Sorabun が表にした
こまること シークレット Brave の Tor ウィンドウ VPN
同じパソコンを使う人に、見たサイトを知られる ○ ○ −(通信の守り)
公衆 Wi-Fi やプロバイダに、通信を見られる × ○ ○
パソコンにスパイウェアやキーロガーが入っている × × ×

6. パソコンに入られたら、3つとも防げない

総務省は、情報漏えいを起こすウイルスには、キーボードで入力した情報を記録する「キーロガー」や、コンピュータの中に記録されている情報を外に送る「スパイウェア」がある、と説明しています。

総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」。情報漏洩を引き起こすタイプのウイルスには、利用者がキーボードで入力した情報を記録するキーロガーや、コンピュータ内に記録されている情報を外部に送信するスパイウェアと呼ばれるものなどがあります
総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」ウイルスとは?

パソコンそのものに入られると、ブラウザの窓の種類や通信の守りとは関係なく、入力やパソコンの中のファイルを見られてしまいます。だからこそ GMO は、利用者に、フルスキャンとバックアップ、そしてネットワークを切って電源を落とすことを求めています。

GMOインターネットグループの第10報「お客様へのお願い」。端末のウィルスチェックのフルスキャン、バックアップ、PCのネットワーク断および電源断(バックアップを取得したうえで、ネットワークを切断、電源を落とし、PCにつながっているコードを抜いてください)、アカウントの保護に関する対応
GMOインターネットグループ(第10報・2026年10月27日)

7. ブラウザとパソコンを守る、今日やること

総務省の「サイバーセキュリティ初心者のための三原則」(ソフトウェアを最新に保とう・強固なパスワードの設定と多要素認証を活用しよう・不用意に開かない・インストールしないようにしよう)と、GMO・Chrome・IPA の説明をもとにまとめました。

  1. 銀行・証券・メールなど、大事なアカウントは2段階認証(多要素認証)にする
  2. パソコン(OS)とブラウザを最新にする
  3. 心当たりのない拡張機能を消す(GMO も削除を求めている)
  4. 共用のパソコンではシークレットを使い、落としたファイルは自分で消す
  5. 公衆 Wi-Fi では、信頼できる提供元の VPN を使う
  6. 公開されたものや、メールのリンクは開かない

8. サイトを運営している人へ

WordPress の管理画面に入るのも、同じブラウザです。

自分の WordPress のサイトが大丈夫か、外から確かめたいときは、無料の診断が使えます。

Sorabun の無料のセキュリティ診断のページ。サイトの URL を入れると、入っているプラグイン・テーマ・WordPress 本体を調べ、既知の脆弱性が無いかを確かめられる
sorabun.com/security/check/

よくある質問

シークレットモードなら、履歴は誰にも分からないのですか?

いいえ。シークレットが減らすのは、そのパソコンに残る記録です。Chrome のヘルプには、見たウェブサイトや、学校・勤務先・プロバイダなど、ネットワークを管理している組織には知られる可能性がある、と書かれています。また、落としたファイルは残ります。

Brave を使えば匿名になれますか?

Brave の Tor のウィンドウは、IP アドレスを隠す助けになります。ただし Brave 自身が、もれのない匿名が必要なら Tor Browser をすすめています。また、パソコンにウイルスが入っていれば、どのブラウザでも防げません。

VPN を入れておけば安全ですか?

VPN が防ぐのは、通信の盗み聞きです(IPA)。パソコンに入ったウイルスは防げません。また、提供元が分からない VPN サービスもあるので(総務省)、信頼できる提供元を選んでください。

GMO が公開されたものに、自分の情報が入っているか確かめたいです。

見に行かないでください。GMO は、そのサイトにアクセスした人の情報は攻撃者に取得されているとして、アクセスしないよう求めています。含まれていた人には、GMO から個別に連絡するとしています。

まとめ

出典(2026年10月27日に確認)

実験の数字は、私たちがブラウザのデータを読んで数えたものです(コンテンツ/browser-privacy-2026/shots/experiment.mjs・measure.py)。

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